2011年8月28日日曜日

読書日記「はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術(マイケル・E. ガーバー)」

起業の勉強をすべく、本を呼んでみました。読んだ本はマイケル・E. ガーバーの「はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術」です。スモールビジネスの経営コンサルタントの方が書いた本で、売上は100万部を超えてアメリカでは起業家のバイブル的な本になってる(と帯に書いてある)そうです。「職人系」の起業家が「起業家」としての視点を持つことの重要さと、自分が現場にいなくても収益が上がる事業モデルの作り方を三部構成で説明しています。

Part1では失敗例を元に起業に対してあるべき姿勢や、美化された起業家像に乗せられて無計画に事業を始めると痛い目をみるよ、という事を説明しています。起業には「起業家」と「管理者」と「職人」がバランスよく協力し合うことが必要であると述べています。そして、僕のような職人タイプが専門知識があるだけで事業経営ができると勘違いして、従業員を雇い出した頃に経営的な視点や従業員のマネジメントを疎かにしたがために(例えば嫌いな経理を従業員任せにしてほったらかし)崩壊するパターンが多いと指摘しています。自分の創造力に任せて自由にプログラミングができるから起業するぞ、なんてだけ考えていると大ゴケする可能性大かもしれないですね。

Part2では事業モデルの重要性について述べています。起業とは、職人としての自分自身に依存することではなく収益を上げる事業モデルを確立することです。個々の専門家の能力に依存するのではなく、普通の専門家が最大限の結果を出せるようにシステム化された事業モデルを作ることができれば、その事業モデル自体が価値を持つことになります。組織の役割とその運営をマニュアル化し収益をあげられる事業モデルができあがれば、それにより自分の役割も他の従業員で交換可能になり、事業モデル自体が価値を持つので売却も可能になります。

Part3ではその事業モデルをどう作り上げるかを、「事業発展プログラム」として説明しています。

まず、事業モデルはイノベーション -> 数値化 -> マニュアル化というサイクルで作られます。例えば、紺色のスーツの営業員が茶色のスーツより売上が高いことを発見したので(イノベーション)、何パーセント高いのかを図り(数値化)、紺色のスーツ着用を従業員に義務付ける(マニュアル化)といった具合です。

著者の「事業発展プログラム」は以下の7ステップから構成されます。

  1. 事業の究極の目標 - 自分の人生で何を成し遂げたいのか
  2. 戦略的目標 - 収益目標や会社の規模、スケジュールなど
  3. 組織戦略 - 組織図を作り役割を明確にする。それにより、従業員が増えた場合にも責任が明確になる。
  4. マネジメント戦略 - 業務マニュアルなど、従業員に如何に働いてもらうかなどの管理システム
  5. 人材戦略 - 従業員を動機づけ、思い通りに働いてもらうためのルール
  6. マーケティング戦略 - 顧客がなにを求めているか、顧客にどう印象づけるかなど
  7. システム戦略 - 上記の戦略のシステム的な統合

この数時間で読み終わってしまう本を読んだだけで起業の仕方が理解できてしまうわけはないです。ただ、起業とは「職人」としての自分の能力に依存せずに収益が上がる事業モデル(システム)を作るとこだというコンセプトと、そのモデルを作るための大まかなステップはよく理解できました。

自分が職人として会社で働く立場から、起業家として自分でその仕組を作る立場になりたいかと言われると、うーん、まだ具体的なイメージがないのでなんとも言えないですね。業務モデルを試行錯誤しながら作り上げていくプロセスはすごく面白そう。そのプロセスが身近に感じられ、自分もそれに貢献できるような小規模な起業で働くのも向いているのかもしれませんね。